【韓国ドラマ】『エスクワイア 弁護士を夢見る弁護士たち』11話、12話(最終回)ネタバレ感想。この違和感の正体とは?

Netflixで配信中の韓ドラ『エスクワイア 弁護士を夢見る弁護士たち』の11話を観て、この違和感やモヤモヤを文字化しないと憤死しそうになってしまった。でもSNSではネタバレしてしまうし悪口のオンパレードになるのもよくないので静かにここに書き殴り記録。

そもそも、2〜4話における子どもや障がいをストーリーのために作為的に取り上げる脚本に疑問を抱いたのが初めの大きな違和感。もしかすると勘違いかもしれないし、ルームメイトに依頼内容をベラベラしゃべる主人公カンヒョミンにイライラしながらも、この違和感はなんだろう……と思いながら見続けて11話に至ってしまった。

さて、問題の11話を鑑賞。

同僚が預かり育てる双子を自分の恋愛のダシにするカンヒョミン、マジで無理。でもまあドラマだしね。ペットショップで血統云々、猫は犬より育てやすい云々。まあ、そういう人もいるのだろう。

カンヒョミンはユンソクフンが飼うハッシュ(犬)のために迷子札をプレゼントする。ユン弁護士は「嫌がるから」と言うが「小さいから平気」と返事するカンヒョミン。え? 嫌がる犬に無理矢理…? カンヒョミンは9話でも自分の「正義」を突き通したけど、その違和感がここでものぞいてしまった。自分がいいと思えばそれが正義。GPS付きで便利だからそれはハッシュのためなのだ。そんな傲慢な思い(込み)がモロに見え隠れしてしまう。(そもそも、平日は元妻の家にいるわんこにGPS付きの迷子札を付けさせるって、普通に怖い)

11話の一番の違和感はカンヒョミンの母が、耳の聞こえない猫チェリーを引き取った直後のシーンだ。ワクチンの副作用でぐったりしたチェリーの症状にうろたえたカンヒョミン母。(そこでルームメイトを呼び出して餌やりを頼むカンヒョミンにも???だったけど)その後の独白があまりにも酷すぎた。

内容はこうだ。

元気にしてたのに。私ってダメね。母親失格よ。育てるのが下手ね。

ーーそんなことない。ワクチンの副作用は母さんのせいじゃないよ。

ヒョジュはよく怪我をした。聞こえないからケガが多くてね。でも泣かなかった。喉は正常だから声を出せるのに余計な心配ばかりしていた。ヒョジュがいないと不安になるの。だから一日中目を離さずついて回ってた。今思えば過保護よね。だからか、発達が遅かったの。

ーーそうなんだ。

それで事故が起きた。

ーー事故って?姉さんに何かあったの?

違う。あなたよ。私はヒョジュにつきっきりで、あなたを放置してしまった。体はひとつだから。覚えてる?あの時、階段から落ちたこと。

ーーなんとなくね。そういえば右腕と左足が折れたような気がする。

めちゃくちゃだったの。ヒョジュのことに責任を感じながらあなたまでケガさせてしまった。本当になにひとつうまくできない。

ーーそんなことないよ。それで姉さんを伯母さんに預けたの?

すぐ決めたわけじゃない。母さんね、伯母さんを何度も傷つけたの。

ーーどうやって?

結婚相手を連れてきたの。彼は先天性難聴だった。すごく腹が立ってひといことを何度も言ったの。子どもを欲しがってる人に「耳が聞こえない子なら産まないほうがいい」

ーーひどいよ。

そうよね。でも言ったとおりになったの。子どもができなかった。ヒョジュを見てたら罰を受けるのは私なのに、代わりにヒョジュが背負ってるようで。姉に謝りたいと思って電話したらすぐ来てくれた。子どもはいないのにヒョジュの気持ちを理解してくれたの。無表情のヒョジュが笑ってた。声を出してね。その時まであの子の声を聞いたことなかった。ヒョジュもそうだけど、あなたにも申し訳なかったわ。母親が必要な時期なのに頭がいいことも知らなかった。本も読んであげてない。それなのに1人で文字を習得したのよ。

ーー立派な娘だね。

いまも立派よ。

以上がドラマからの引用。

いやあ、酷い。これではまるでヒョジュの障がいが、母が負うべき「罰」であったかのような言い草だ。そしてヒョミンにかける言葉は「頭がいい」というただそれだけ。

耳が聞こえないから、頭がいいから、彼女にとって子どもの価値はそこで計られている。

「喉は正常なのに」という言及は「耳が異常」の裏返しだ。もちろん、耳が聞こえる母にとってはそれが「正常ではない」状態なのかもしれない。それでも、そんな言葉を母に語らせる脚本には怒りしかわかなかった。

そして終盤の元妻宅前での元妻とユンソクフンとの会話以下引用。

ハッシュは?

ーー今寝たわ。中に入って

いいよ。明日迎えに来る

ーーわかった。この傷は?

行くよ。

ーー彼に聞いた。仮処分を申し立てたでしょ。

黙って行かせられるか

ーー相談するつもりだった。まだ先のことなのに。彼が早とちりしただけよ。

でも確実なんだろ

ーーじゃあどうするの?捨てていく?

捨てるって俺に預けることが?

ーーそういうことじゃなくて

君こそ海外で捨てるかもな

ーーどういう意味?

自分の子もそうしただろ薄情者には預けられない

ーー今言うこと?あなたの言う通り私は冷たい女よ。妊娠したときも真っ先に堕ろそうとした。

ひどい女だ。軽々しく言うな

ーーそうじゃない。そう思ったけどいざ堕ろそうとしたら決心がつかなかった。心が揺れたの

当然だろ

ーー超音波検査の結果がよくなかった。神経系に異常があって。それなのに生まれた子は幸せだと思う?

どうして言わなかったんだ?

ーー「産め」と言うからよ。「障害があっても育てよう」って。不幸になったはず。

話してくれよ。納得させるべきだろ

ーー機会がなかった。薄情とか言って腹を立てたはずよ。理由を聞いてくれたら言い訳ぐらいできた。でもあなたは避けてた。子ども向けの番組も子どもがいる場所も避け続けてたわ。夫婦生活も。

それは君のことを思って。回復してほしいから。

ーーいいえ。あれは本当に息が詰まる思いだった。私たちの関係はおろそかになったわ。そして冷めていった。

俺は違った。今更こんな話をするなんて。言わないでほしかった。君は…君って人は…

引用おわり。

はあ、もう書き起こすだけでため息。

元妻の発言自体についてはいろんな考え方があると思うけど、それをセリフとして言わせ、さらに追い討ちをかけるようにユンソクフンのセリフで印象操作する脚本の意地悪さよ。

おそらく、本作の脚本家は(おそらく多くの人が抱く可能性のある)無意識の優生思想と差別意識を抱いていると思うのだけど、それを今回描かれた「母」たち(カンヒョミンの母と、ユンソクフンの元妻)に背負わせたように思えてならない。しかもその視点は真新しくもなく、救いにもならず、多くの「母」が妊娠時に一度は向き合いめぐらせたであろう命についての思考を全くと言っていいほど超えてこない。何を今更?と個人的には思うし、あまりに古く、後退的な考え方にがっかり。

そしてそれは現役の弁護士である脚本家氏が自らを投影しているであろうカンヒョミンの選民意識に現れている。

法や当事者たちへの敬意も誠実さもなく、自分の正義感だけでつっきり、気持ちよくなっているカンヒョミンの恋などもうどうだっていいのだが、最後にメロいイハクジュをもう一度だけ拝みたい……ヌナ呼びされたい(幻覚)……というその一心で、最後の12話まで見届けようと思う。

ーーモヤモヤはまだたくさんあるけど、意外と短い書き殴り終わりーー

(12話を観ての追記。ただの愚痴です)

12話までしっかり見届けた。結論から言うと、最後まで白目剥きながら観た。

ユンソクフンの元妻がハッシュ(犬)を受け渡す条件は、ユンソクフンがパートナーなりなんなり同居人を作ること。そこで彼が手を出したのがマッチングアプリ。いや、別に個人の使い方に文句を言うわけではないけれど(すごい言ってるじゃん)、そこで出会った女性は犬の世話要員ってことでしょ…?

そーゆーとこだよユンソクフン。仮にいい女性に出会ったとして、女性の人生をなんだと思ってるんだろう。

…で、なんとマッチングしてやってきたのはカンヒョンミン。もうね、全然ときめかないのでとばします。

カンヒョンミンの実家では、家の前に女性が立っている。ヒョンミンの両親は「あらヒョンミンが来てるわ。新しい服ねいいわ〜」と言いながら家へと入っていく。だがそれはヒョンミンではなく、双子の姉のヒョジュだった。

まあね、双子だからね、親でも気づかないのでしょうね。はい。

この母は伯母に謝るときもそうだけど、謝る相手が向こうからやってくる。決して自分から謝罪に行くことはない。伯母に電話したらすぐ来てくれ、育てるのを放棄した娘も向こうからやってくる。ご都合主義もいいところ。

さて、本作を観る頼みの綱であったイハクジュ演じるジヌだけど、結婚は神聖なものだと言って古い価値観を披露したり、プロポーズを会社の人たちの前でやったりと、せっかくここまでいい役だったのが台無しで勝手に覚めました。

でもfilmarksではかなりの高評価みたい。私の見方がおかしいのかもしれない。S2はあっても見ません。お疲れ様でした!